内部者取引(インサイダー取引)
内部者取引(インサイダー取引)とは、会社の内部情報に接する立場にある上場会社等の役職員や大株主などの会社関係者が、その特別な立場を利用してその会社の株価等に重大な影響を与える「重要事実」を知り、その情報が公表される前にこの会社の株式等を売買することをいいます。
内部者取引が行われると、一般の投資家との不公正が生じ、金融商品取引市場の公正性・健全性が損なわれるおそれがあるため、金融商品取引法(会社関係者の禁止行為)において規制されています。
金融商品取引法に違反した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられ、またはこれを併科されることになります。
また内部者取引で得た財産は没収されます。この没収の対象は「利益」でなく「財産」です。(不正で得た利益分だけではなく投資した財産全てとなります)
「会社関係者」の内部者登録
内部者登録とは、お客さまが気づかないまま内部者取引を行うことを未然防止するための手続きです。次のいずれかに該当するお客さまは「会社関係者」として内部者登録のお手続きが必要となりますので、必ずお取引店にお申し出ください。
会社関係者 | 会社関係者の具体例 | |
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会社関係者 | 上場会社等の役職員等 | 役員・社員・パート等 |
上場会社等の帳簿閲覧権を有する者 | 総株主の議決権3%以上を有する株主等 | |
上場会社等に対し法令に基づく権限を有する者 | 許認可の権限等を有する公務員等 | |
上場会社等と契約を締結している者または締結の交渉をしている者 | 会計監査を行う公認会計士、増資の際の元引受証券会社、顧問弁護士等 | |
元会社関係者(会社関係者でなくなってから1年以内) | ||
上記会社関係者にあたる者、法人である場合はその役職員を含む | ||
情報受領者*1 |
- 「会社関係者から重要事実の伝達を受けた者」は、いわゆる情報受領者として規制対象となります。
!重要
- 会社関係者であるお客さまが自社株など内部者取引の対象となっている銘柄を売買する場合は、未公表の企業情報の有無を確認させていただきます。
- お客さまの社内役職などに変更があった場合は、登録内容の変更が必要となりますので、必ずお取引店にお申し出ください。
「重要事実」とは
重要事実には上場会社に関するもの、上場会社の子会社に関するものそれぞれに次のようなものがあります。(これらは金融商品取引法等が定める重要事実の全てではありませんのでご注意ください。)
- 決定事実
- 株式等の発行、資本の減少、自己株式の取得、配当の増減、合併、新製品・新技術の企業化、業務上の提携とその解消、上場廃止の申請等
- 発生事実
- 災害または業務に起因する損害、主要株主の異動、債権者などによる破産の申し立て等、主要取引先との取引停止、資源の発見等
- 業績予想等の変動
- 売上高、経常利益または純利益、その他の業績または業績予想値の大幅な変更・修正の決算情報等
- その他の事実
- その他、上場会社の運営・業務・財産に関する重要な事実で投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの(バスケット条項)
- 重要事実となる各事項について、投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微であると考えられるもの(1対1.1未満の株式分割や災害に起因する損害が純資産の3%未満のものなど)については重要事実から除かれます。
「公表」とは
「公表」とは次のような場合を指します。
- 会社が提出した有価証券報告書や臨時報告書等に重要事実が記載された場合において、これらの書類が公衆の縦覧に供されたこと
- 会社の代表取締役等が重要事実を一般新聞やNHKなど法令で定められている2つ以上の報道機関に公開し、12時間が経過したこと
- 重要事実等を当該取引所等に通知し、当該取引所等が開設するホームページにおいて公衆の縦覧に供されたこと
報道機関がリークなどによって得た情報の報道、会社から公開された報道であっても12時間経過していない場合は公表に該当しないので注意が必要です。